捨てる勇気② 付箋の役割とポスト・イット
Photo by Mujikanen.
付箋
捨てるかどうか本の仕分けをしている最中に付箋の付いている個所を読み返してみると思いがけない発見もあります。片付けが進まないまま読書に突入して、気が付けば30分とか時間が経っていることも休日ではままあります。
私が高校生の頃は付箋といえば紙製のイメージが強かったですが、最近のモノはプラスチック製で使いやすくて便利ですよね。付箋の種類も豊富で使い方も多岐にわたり、読書や学習のときに使う参考書、ミーティングや会議等でインスピレーションが湧く様にキーワードとキーワードを繋ぐ役割等、何かに貼る以外の用途でも使われていますね。
3M社の『Post-it(ポスト・イット)』
個人的に本に貼る付箋が少しずつ進歩して、使いやすくなっている点は興味深いです。
最初の糊付き紙付箋であるポスト・イット(Post-it)はアメリカの化学メーカー3Mによって開発されました。糊付き紙付箋、別名、粘着メモ用紙ことポスト・イットは3M社の登録商標です。ブランド名としの『Post-it』の方が馴染み深いですよね。
最初の糊付き付箋製品であるポスト・イット (Post-it) はアメリカの化学メーカー3Mによって開発された。1969年、同社の研究員スペンサー・シルバーは強力な接着剤を開発中に、たまたま非常に弱い接着剤を作り出してしまった。当初この弱い接着剤は用途が見つからなかったが、1974年に同社研究員アーサー・フライが本の栞に応用できないかと思いついた。このエピソードは、偶然から大発明を生む「セレンディピティ(偶察力)」の典型例として知られる[1]。1977年には試作品が完成、テスト販売では当初苦戦するが、大企業の秘書課に配られた試供品が好評を博し、1980年の全米発売につながる。それ以降、ポスト・イットは世界中に広まり、現在では100ヶ国以上で販売されている。
Palestra Art Fly - 3M Innovation Connections
Art Fly(アーサー・フライ)氏の講演映像を見付けることが出来ました。全編英語のため翻訳モードでご覧ください。
失敗により偶然発明された弱い接着剤ですが、当初は利用方法が思いつかず、いつのまにかその存在さえも忘れ去られてしまいます。そして、月日が流れ発明時には気付かなかった使い道も、ふとしたきっかけと閃き
(セレンディピティ)で思いがけない発明品に変わります。
Post-itと特許(2017年8月28日・加筆修正)
こちらのBlogで、アメリカで出願されたポスト・イットの特許について調べた記事を掲載されています。非常に解り易く、発明当初から現在に至るまでの特許論争が調査されています。
アメリカのエンジニア達がこぞって自身の発明と主張したがるだけの魅力を持ったこの『ポスト・イット』ですが、世界100ヵ国以上で販売使用されているだけあって、現在のIPhoneに並ぶ革命的な発明ではないでしょうか。
現在、Post-itの基本特許は切れており、Post-itの販売市場は3Mを含む数十社で激戦を繰り広げています。
Post-itの仕組み(2017年8月28日・加筆修正)
多種多様で便利な使い方、その偉大な発明の経緯、現在に至るまで特許争いが続くポスト・イット(Post-it)ですが、その仕組みはどうなっているのでしょうか。貼って取ってと繰り返し使える魅力あふれる発明の裏側を解説されている記事を見付けました。
ポスト・イットの利点として、再使用が容易であることが上げられますが、その仕組みについて、あまり触れられてはいないのではないでしょうか。
何かに貼る、貼り付けるというのは糊や炊きあがったばかりのお米、キッチン用品の吸盤等でも可能ですが、紙素材を繰り返し『付けたり剥がしたり』する仕組みはあまり知られていません。
実際は、圧力を加えると接着面の表面分子構造に変化が生じ、小さい玉状の接着剤の面積が被着体に広がり、また剥がす際にもとの小さい玉に戻る、これを繰り返すことにより、何度も『ついたり剥がれたり』を可能にしています。
オフィス以外での『ポスト・イット』の使い方(2017年8月28日・加筆修正)
もともとが本や参考書、聖歌隊の楽譜にはさむ栞の代わりに使う目的で作られたPost-itですが、日本では1981年に住友スリーエム(現:スリーエムジャパン株式会社)から販売されました。当初オフィス業務で使用されているまでに2年の月日が掛かるなど、なかなか売れない状況が続きました。
現在ではオフィス内の欠かせないコミュニケーションツールとして必需品となっていますが、2008年のリーマンショック以後は経費削減などで思ったように販売が伸びなくなる時期がありました。その代わり、次の使い道として、2013年にPost-itのシルエットを変えた『シルエットデザイン』を上市し、オフィス外へと販路を拡大していきました。
一般の方には、こちらの方が馴染み深いのではないでしょうか。
【幅広い利用シーンで使えるシルエットデザイン】
貼るだけでラッピングが完成する「リボン」、子どもとのコミュニケーションにお勧めの「クマ」、寄せ書きや色紙に最適な「サクラ」や「クローバー」など、モチーフは全部で 10種類。各モチーフのイメージに合った色と大きさにすることで、より可愛く、より使いやすいデザインふせんになりました。プチギフトやラッピングに、家族や友だちへのメッセージに、アルバムデコや寄せ書きに、日々のコミュニケーションで活用することで、より気持ちがこもったメッセージが伝わります。
【製品の魅力を伝えるパッケージを採用】
購入時に好きなデザインを選びやすいように、製品の色や形がよく見えるパッケージにしました。袋にはジッパーが付いているので、使いかけのふせんを保存しておくのに便利です。
【しっかり貼れる強粘着タイプのシルエットノート】
粘着力は、約 2 倍(当社通常粘着製品比)の粘着力がある「強粘着タイプ」です。いろいろな場所にしっかりと貼ることができ、幅広い使い方が可能です。
私の付箋の使い方
私の自宅にあった比較的古く埃のかぶった本には紙付箋が多く貼ってありました。
受験勉強などでよく使用しており、色々と書き込みも多かったです。
本棚の手前側にある分にはプラスチック製のモノを多く使用していました。
文庫本や参考書を含む高校生や受験生時代のときに読んだ本に特に多く使用しており、紙付箋の便利な書き込み要素を昔の私は気に入っていたようでした。
反対に大学入学から卒業後にかけて読んだと思われる本には使いまわしやすいプラスチック製を好んで選んでいる様でした。
再利用出来る付箋を剥がして、一つにまとめる作業を繰り返し、必要なくなった売る本を大体まとめることが出来ました。
用途別で使い分ける
紙製の付箋は一度貼り付けると剥がして再利用出来ないので、使用後はそのまま捨てることになりますが、プラスチック製の付箋は再利用しやすいメリットがありますよね。細かく経費などを見ていくと、付箋といってもコンビニなどで購入すれば250円は下らないので節約の意味もあります。リーマンショック以後に企業が文房具を経費削減の対象にしたのも頷けますね。
特に学校の参考書に使用している事が多く、大学受験時の参考書にたくさん貼ってあり、参考書を読み返している間は少し懐かしい思いに浸ることが出来ました。付箋を剥がし終わった参考書で使えそうなものはBOOK・OFFにでも売りに行く予定です。
書き込みが多いものは残念ながら古本回収に回すことに成りそうです。
紙付箋でストップモーション(2017年8月28日・加筆修正)
回収した付箋でストップモーションは出来ませんが、世界には面白い発想で楽しいことをしている人がいます。はっきり言って凄いです。
Post-itを発明したArt Fly(アーサー・フライ)氏も自身の発明がこんな形で使用されるとは夢にも思わなかったでしょう。
付箋ひとつとっても、そこには失敗品の発明から新たなる発見、現在に至るまで続く訴訟問題というふうに様々なドラマがあり、現在では、オフィスでのコミュニケーションの必需用品として、また広く一般家庭にも普及している生活の必須アイテムではないでしょうか。