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捨てる勇気㉒ 古本の買取価格1円の正体

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目次

ネット店舗での買取比較 

古本の買取について、リアル店舗とネット店舗を比べる時にどこの店舗で買取して頂くのが良いか、こちらで紹介してくれています。

 

 

ネット買取では『価格.COM』などでのショップ情報で、どのサイトも辛辣な意見や御褒めの言葉等が書かれています。

 

 

買い取り手の顔が見えるリアル店舗に比べ、ネット店舗はメールの文字情報や商品受注から発送、入金までのレスポンスの早さなどでその良し悪しが判断されがちです。
買取値段も重要ですが、買取引きまでの対応の良し悪しで風評が広がる事を考えると査定は少し低くてもリアル店舗での買取を選択したくなります。

 

mujikanen.hatenablog.jp

 

以前の記事で紹介した、モノレートなどを使用して最低買取価格を検索しました。ここで、今回買取して頂く予定である文庫版の某漫画(全6巻)を検索してみると、複数のサイトで査定不可査定額300~400円程買取価格1円と表示されました。
古本相場で旬を過ぎてしまった本なら査定不可数百円の査定額は納得出来ますが、買取価格1円は何を根拠にそう判断しているのか解り辛く、返ってその金額を提示しているサイトの怪しさを助長させています。この買取価格1円のヒントがAmazonプロマーチャント制度に隠されています。

 

Amazonプロマーチャント制度

Amazonマーケットプレイスへの出品には大口出品者(プロマーチャント)制度小口出品(個人出品者)が用意されています。
プロマーチャント制度は大口出品したい中古販売業者向けの制度です。

・小口出品者の場合

 

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・大口出品者の場合


小口出品者の場合は大口出品者に比べて、基本成約料Amazonに支払わなければなりません。基本成約料とは商品が1点売れるごとに請求され、その金額は1件ごとに100円です。大口出品者の場合は基本成約料が免除されますが、その代わりに登録料として1月4900円が必要になります。1カ月の取引数が49件を超える場合には大口出品者に切り換えた方が有利になります。
販売手数料については、販売手数料=販売価格 × 販売手数料率(%)で算出し、書籍の場合なら15%となります。

カテゴリー成約料日本国内の本の配送は60円となっています。(2011年8月31日以降)

こちらのサイトで詳しく説明してくれています。

 

1円ブックストア(利益の構造) アマゾン1円古本・文庫・新書・漫画コミック・DVD

 

日本国内での本の配送の場合、包装費と配送料をどれだけ抑えるかが利益を出すための要に成ります。また、販売手数料は販売額が1円の本の場合、1円×0.15(15%)=0.15円となり、ほぼ0円となります。
bookoffなどで昔のゲームソフトなどを購入しようとしても見付らず、Amazon出品で3円の商品を購入したつもりでも、実際は配送料と商品購入料で合計して340円掛かるのはこれが原因だと分かりました。
以上がネット古本買取業者の儲けの仕組みであり、これを利用して再販可能な商品を低価格で集め、Amazonなどを通じて再販し利益を得ています。リアル店舗での買取とは違い、ネット店舗特有の買取方法で再販可能商品を集めているので、買値を低く見積もられる原因はここにあるような気がします。

 

古紙リサイクルの流れ

古本買取業者は、古本の買取過程で再販不可能な古本が含まれていることに対し、どう対応しているのでしょうか。
そこで個人が古本買取を願い出てから、古本業者を経由して、再び別の個人へ古本が届くまでを簡単に図解してみました。

 

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上のフローチャートの中で、出品不可から下の古紙回収業者については各都道府県により回収の方法や回収業者が違います。bookoffなど一部の古本業者では店舗販売不可能な商品をリサイクルしメーカーロゴをプリントした専用の買取ダンボーなどに使用しています。メーカー買取の際、指定した各NPONGO団体に寄付する事が出来ます。

「廃棄物でない古紙」

資源として利用されるなど、有価物と解される古紙。

「廃棄物である古紙」

占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断されるもの。

出典:経済産業省委託調査「紙リサイクルシステムの基盤強化に関する調査報告書」(平成26年2月)


古くなった衣類と同様にメーカーで回収、その後の寄付までを一つのサイクルの中に落とし込んだ事業展開をしているところも増えてきています。古本は古紙の回収分類上では雑誌(週刊誌・漫画本・カタログ・パンフレット・専門誌・単行本・教科書・辞典)に含まれます。下記が古紙の品種分類表です。

 

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 出典:公益財団法人古紙再生促進センター「古紙利用と環境影響に係る調査報告」(2001年3月).

 

買取価格1円と販売価格1円

 

 

所持している必要なくなった本や漫画を買取査定サイト『URIDOKI』Amazonで検索し、最低買取価格1円とAmazonの販売価格1円が一致した場合、迷わずリアル店舗での買取をお勧めします。
反対に、全巻セット販売価格や単行本の販売価格がAmazonで出品されている各古本買取業者と対抗できる額ならば、Amazonマーケットプレイスを利用してみるのもいいかもしれませんね。
古本買取業者の買取価格1円は買取価格そのままでAmazonなどに出品し販売、大量の商品在庫数と配送料を工夫することにより利益を得るビジネスモデルを構築しており、一個人が同じ土俵に立つのは不利になります。また、Amazonへの登録や配送の手間など忙しい人向けではないのは確かです。
中古本買取業者はこの方法で販売価格は1円でも、配送料を工夫することにより、最低でも81円の利益を得ることができます。

 

どれを選択するか

リアル店舗に持ち込む

Amazonなどに出品

③ネット店舗買取

NPONGOに寄付

 

これまでの流れを整理すると、部屋の整理整頓中にいらない本または漫画が複数出てきたとき、その本の最低買取価格と販売価格を比較し1円で同額ならば、①番のお近くのリアル買取店舗へ、そうでなくセット販売や単行本単体でそれなりの値がついているなら②番と③番のAmazonなどに出品し、そのどちらでも無いのであれば④番のNPONGOに寄付する事業をしている買取業者を利用するなど、検討してみては如何でしょうか。

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